埋立地の上の遮断機の向こう側に光る水面の先に
覚めない夢を見つづけながら
はみだしたはずのこの巨大な夢の塵のひとつとなって
闇の中を循環している
隣で寝息をたてる見知らぬ男の唇をつまんでみても
この夢から覚めることはない
時間が放射状にのびていくのが見える
どこまでもどこまでものびていくので
目を背けてしまう
読点でつづられていく物語
追尾する物語に句点は打たれない
不安定に重なりながら不確定な行く先へ
読点だけをたよりに
間延びし続けるまばたきの隙間に
投影される影絵のようにぼやける輪郭
まぶたの裏に映し出されるのは黒い余白
その暗幕に吸い付く塵
それでも雲のむこうにあるといわれる夜明けを待っている
どこまでものびつづける幾層にも塗りかためられた硬い闇と
うずもれてしまいそうなやわらかい地面の間で
夜光性の塵が 時よりぱちぱちと静電気を放っている音が聞こえる